0歳から考える乳幼児スマホ問題:情報モラル専門家による対談報告レポート

0歳から考える乳幼児スマホ問題:情報モラル専門家による対談報告レポート

開催日時 2014年9月14日(日) 14:00~17:00
開催場所 福岡県福岡市
参加者

[幼児スマホ パネリスト(4名)]

松田直子/特定非営利活動法人イーランチ 理事長(静岡焼津市)
川合ちえみ/一般社団法人・情報教育研究所 情報モラルアドバイザー(愛知県豊田市)
井島信枝/子どもねっと会議所 代表(福岡県福岡市)
田中康平/株式会社ネル・アンド・エム 代表取締役(佐賀県佐賀市)2児の子育て中

 [情報モラル コーディネータ]

桑崎剛/安心ネットづくり促進協議会特別会員
熊本市立総合ビジネス専門学校 教頭

[幼児とスマホ/タブレットの在り方を考える対談主催]  

永坂武城/安心ネットづくり促進協議会特別会員
一般社団法人・情報教育研究所 代表理事

[[報道関係者]

攝待 卓/日本経済新聞社
福井 一基/熊本日日新聞社
井上 光悦/松島健:山陽新聞社

【乳幼児へのスマホのあり方について考える背景】

総務省が公表している「主な情報通信機器の普及状況(世帯)」に関する調査結果によると、2013年末の時点で、スマートフォンの世帯普及率は62.6%と半数を超えていることが明らかになった。過去3年を振り返ると、2010年(9.7%)、2011年(29.3%)、2012年(49.5%)と、市場に投入されて 以降、急速に普及している事が見て取れる。

情報教育研究所では、本を読みながら子供がイメージできる事柄から題材やヒントをもらい教えてあげると、子供は理解をしやすくなります。

低学年、中学年、高学年、それぞれの年齢に応じた絵本を使った授業案を紹介いたします。

総務省:「主な情報通信機器の普及状況(世帯)」

(1)総務省 平成25年通信利用動向調査 主な情報通信機器の普及状況

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc253110.html より

スマートフォン/フィーチャーフォン(いわゆる ガラケー)/タブレットの世代別の利用率の調査結果(2013年末)によると、10代~40代ではスマートフォンの利用率が最も高くなっている。特に20代では、87.9%、30代では78.7%と非常に高い。生活の中に浸透している状況が生まれている。20~30代というのは、視点を変えると「子育て」世代の中心でもある。スマートフォンやタブレット端末が常に身近に存在する環境の中で出産し、育児に励む。知育アプリの増加により、子育てにスマートフォンやタブレット端末の活用を取り入れる光景を目にする事も少なくない。

総務省:「平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(速報値)」

(1)総務省 平成25年通信利用動向調査 主な情報通信機器の普及状況

http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2014/ h25mediariyou_1sokuhou.pdf より

子育てにスマートフォンやタブレット端末を取り入れることについて、懸念点を指摘する有識者や団体も出てきている。一方、実態調査や学術的な研究などはこれからである。現時点では、その功罪はよく分かっていないのが実情だ。

子供は成長する事を待ってはくれず、子育ては日々の営みとして進んでいく。社会の変化と状況からすると、新しいメディアを子育てに取り入れる事は自然の流れだと考える事もできる。アンテナを高く掲げ情報収集している、使わせ方に悩んでいる、無意識に子供に与えている、といった様々な関わり方の中で子育てに励む保護者が存在している。

このような現状を踏まえ、先ずは「何か問題はないのか?」と考えるきっかけをつくることが重要であるとの考えから、有識者や子育て世代の代表、報道関係者などによる対談が開催された。

 

【0歳児スマホ問題について考える対談の目的】

パネリスト等から寄せられた意見や議論の内容を「提言」としてまとめ、子育て中のママやパパが「幼児とスマホ/タブレットの在り方」について関心を持ち、豊かでより良い育児に繋げられる様に、社会に発信し啓発することを目的としている。

 

【乳幼児とスマホに関する主な意見】

子育てでは「スマホかリアルか?」、学校では「タブレットか教科書(紙)か?」といった、そもそも対立しないものに対立軸を置いて無用な議論をしている事が多いと感じる。スマホやタブレットの良いところは賢く取り入れる場面もあるわけで、イエスかノーか?白か黒か?に捕われずに議論し発信していきたいと思う。(桑崎剛)
1985年生まれ(今年29歳)を子育ての中心世代だと想定すると、2000年頃に高校生になり、急速な携帯電話の普及と共にネット利用を始めている。その頃は、ネット利用や情報モラル教育が本格化する前で、十分な教育を受けていない世代でもある。(桑崎剛)
ネット炎上の現象の中で、引き起こす世代に目を向けてみると、「会話がメールになった世代」であり、ネット教育を受けていない。手紙がメールになった世代も同様にネット教育は受けていないが、ビジネスからネットに入っているので、ネットへの意識に温度差があるように思われる。ネット炎上を起こしているプライベートからネット活用に入っている世代は「友達につぶやく感覚」で世界に発信している。例えば「クローズドとオープンの違いが分からない」そういう世代が子育ての中心になっている。(永坂武城)
公表されている調査結果によると、「子供がスマートフォンを使用することがありますか?」という問いに対して、1歳児で74%、2歳児で85%、それ以上は90%前後という結果になっている。「子供がネット接続端末を使用し始めるのに最適な年齢」については、小学校低学年 (7〜9歳)と考える保護者が28.2%と最多となっている。実際には、目の前の子供が使っているという実態があり、理想と現実のギャップが表れているのではないか。(松田直子)
ゲーム世代のパパに見られるのは、大人になっても新しいゲーム機を買って遊ぶ姿。スマホのゲー ムもやるという話も良く聞く。お父さんがIT好きで、iPadを持っていて子供に触らせている家庭でも、ゲームアプリが沢山ダウンロードされているケースが多いのではないか。(田中康平)
「ICTに詳しかったり、使い方を気にしながら生活している」というスマホの活用にある程度の自信を持った層もあれば、「あまり深く考えていない」という層もある。その狭間には「仕方がない時もあるよね」と不安に思いながらも使わせている層があり、ここが一番多いのではと感じている。この層の保護者の方々に、上手に自信を付けてもらうにはどうしたら良いかという事も、今日話し合えたらと思う。(井島信枝)
子供の中にも、タブレットが学習を補助する子と、逆に集中を阻害して紙の方が良い子など多種多様で、子供によって与え方が違うと感じる。結局は、保護者自身が我が子の様子をしっかり見る事が大切で、その子なりのスマホやタブレットとの関わり方を見つけていく事が必要なのだと思う。(田中康平)
スマホやタブレットを与える事による身体的な影響などは、医学的な根拠が出ていない事も多い。何をモノサシにしてよいか分からない事を保護者の方々に考えてらうよりも、例えば「ガラガラ」1つでも赤ちゃんなりに何かを学んでいるだろうし、スマホアプリに触れることで自然と学んでいるはずの何かの機会を無くしているのかも知れない。親として「子供とどう接したら良いのか?」「愛情をどういう風に受け止めてくれるのか?」といったことを考え直すキッカケと捉える事を提案してはどうだろうか?(永坂武城)
アプリの選び方は本当に難しい。スクールで活用しているアプリは、シンプルで次の活動や体験に繋がるもの、思考の余白が残されているものを選んでいる。賑やかな音や画面上の派手な演出が施されているものは使っていない。保護者の方には、我々が選んだアプリを紹介している。その他、保護者の方には、パスワードの掛け方や機能制限などテクニカルな事と、必ず子供と一緒に使うように伝えている。「お膝にだっこ」でスマホでもよいと思う。(田中康平)
他力本願というか、提示されたモノを使って考えるのではなく「自分に応じた尺度・モノサシを自分で決めることができる」というのが一つの提言に繋がるような気がしている。(桑崎剛)
歴史あるもの、例えば歌舞伎でも「守るべきものと、時代に合わせて変えていくもの」がある。その判断基準を見つけ出したからこそ続いている。子育ての中で「守るべきもの」「時代に合わせて変えていくもの」の判断基準を考えてもらう事こそが、大切ではないだろうか。(永坂武城)
こんなに急速に環境が変わる時代だから、子供が変わったのかと考えると「子供の本質は変わっていない」と思う。生まれたときに「おぎゃー」といって、親を欲して、甘えたいときに泣いて。なので、焦らないで欲しい。(井島信枝)
僕は、3年前くらいから子育ての中でタブレットの活用を始めて「このままではダメだ」と気がついてアプリの精選を始めた。といっても、精選したアプリの使い方も子供によってバラバラなので、結局は目の前の子供をしっかり見る事にしか答えはないと感じている。(田中康平)
何か指針を出して欲しいと他人に頼る、PTAで決めてくれ、保育園で決めてくれ、オムツでさえ施設で外して欲しいが為に早く入園させるなど、他力本願ではダメで、保護者自身が自力で考え成長する事が重要だと思う。(桑崎剛)
この子達が大人になったときの社会を想像すると「自律心」「自分で判断して行動する力」など、今の学力観には無い新しい学力観を身に付けて欲しいと思う。その時にスマホやタブレットなどのICTは武器になるけれども、必ず自分でコントロールできるようにする事が大切。そこは、保護者だけが頑張るのではなく、子供と一緒に自問自答しながら成長していく事が求められるのだと思う。(田中康平)
今の保護者、お母さん世代は、乳幼児からスマホを使い始めた「子育てニューエージ」だ。「あなた達がモデルを創る」という期待を込めて応援したい。
今の子育て世代は、本当に忙しい。周囲が追いつめるのではなく「子育て世代にエールを送る」社会になって欲しいと思う。その為の情報発信・啓発活動を今後も考え合っていきたい。

 

乳幼児スマホ問題について考える対談で出された子育てママに向けた5つの意見・提言

「子育てに正解は無い。誰だって悩んでいる」

「今は過渡期。新しい事を取り入れるときは、自問自答を大切にしましょう」

「悩みを打ち明け、共感する場を設けましょう」

「子育てニューエージにエールを送りましょう」

「子供と一緒に成長していきましょう」

 

以下、座談会当日の意見等をレポートする。
文中ではスマートフォン = スマホ、タブレット端末 = タブレットと表記している。

  1. 情報モラル専門家による乳幼児スマホ対談メンバーの自己紹介と各参加者の考え
  2. 子育ての中心世代は、情報モラル教育を受けていない
  3. スマホ育児の問題点の提言、そういわれても子育てママの事実は・・・
  4. 0歳から考える乳幼児スマホ問題の議論の方向性と論点を整理してみると
  5. スマホ/タブレット時代の「幼児のしつけ」は、どのようにしたら良いのか?
  6. 子育て、しつけの“あるべき姿”とは?モノサシで計れるものなのか?
  7. 不易と流行、子供は変わったのか
  8. 子育てママには、子供と共に成長して欲しいと願う

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