0歳児スマホ問題について考える:情報モラル専門家による対談報告レポート

子育ての中心世代は、情報モラル教育を受けていない?

桑崎剛

子育てでは「スマホかリアルか?」学校では「タブレットか教科書(紙)か?」といった、そもそも対立しないものに対立軸を置いて無用な議論をしている事が多いと感じる。教育界では 「子供の自主性を尊重すべき」いや「子供は鍛えるべき」といった議論もあるが、どちらも大切な事で対立軸にはないはずである。スマホやタブレットの良いところは賢く取り入れる場面もあるわけで、イエスかノーか?白か黒か?に捕われずに議論し発信していきたいと思う。

固定電話と携帯電話の所持率が逆転するのが2000年以降、2004年にはネット掲示板でのトラブルなどから小学生の殺傷事件が発生した。子育て世代の中心を1985年生まれ(今年29歳)と想定すると、2000年頃に高校生になっている。急速に携帯電話が普及し、所持したけれどもネット活用などの情報モラル教育を受けないまま、そのような学習がなされなかった世代でもある。この世代が幼児の親である。0歳から6歳の未就 学児の子育てをしているという、時代的な背景がある。我々の世代とも違う、田中康平さん世代(1975年生まれ)とも違う。

永坂武城

ネット炎上の現象の中で、引き起こす世代に目を向けてみると、手紙がメールになった世代ではなく「会話がメールになった世代」であり、プライベートからネット活用に入っている。この世代がよくネット炎上を起こしている傾向にある。つまり「友達につぶやく感覚」で世界に発信している。例えば“クローズドとオープンの違いが分からない”そういうネット利用の感覚世代が子育ての中心になっている。

松田直子

ここに来る前に、デパートのソファでパパが赤ちゃんをあやしている場面に出くわした。そのパパさんは、赤ちゃんに覆い被さるようにしてスマホを触っている。赤ちゃんはパパを見て笑っているが、パパはスマホを見ているという光景。それがそのパパの全てではなくワンシーンだと思うが、、、 それと、最近あるママから「授乳中にメールの着信音が気になって、ついつい見てしまう。授乳が終わってからにすればいいんだけど、急ぎの用事かな?と思ってしまって。それっていけないこと?なのかなぁと悩んでいる」と言われた。ある程度の数値を示しながら考えていく事も大切だ。

 

ママスタジアムが今年の1〜2月に実施した「子供のスマートフォン利用(図1)」を調査するア ンケート企画によると、「子供がスマートフォンを使用することがありますか?」という問いに対して、1歳児で74%、2歳児で85% それ以上は90%前後という結果になっている。捉えようによっては、「そんなに~、怖い時代になったな」と受け止められる事もあるが、幼児がSNSをやっているわけではなく、知育アプリでも「使用する」と捉えると、そんなに驚く事ではない気もする。「どのくらいの頻度で?」の回答結果では、ほぼ毎日が29% 週に2〜3回程度が23%で、足すと52% になり、半数以上が習慣化している様子が考えられる。

図1:子供のスマートフォン利用

ママスタジアム 子どものスマートフォン利用調査

   

デジタルアーツ(株)さんが7月に公表した「未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査 (図2)」によると、「子供がネット接続端末を使用し始めるのに最適な年齢」については、小学校低学年(7〜9歳)と考える保護者が28.2% と最多となっている。実際には、目の前の子供が使っているという実態があり、理想と現実のギャップが表れているのではないか。現在、イーランチでも幼稚園関係者向けのアンケートを実施している。保護者の利用時間なども聞いている。保護者の状況と子供との相関も見ていく事ができたらと考えている。

図2:未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査

未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査

田中康平

僕らの世代(1975年生まれ、今年39歳)は、ちょうど「ファミコン世代」。ゲーム世代のパパに見られるのは、大人になっても新しいゲーム機を買って遊ぶ姿。スマホのゲームもやるという話も良く聞く。お父さんがIT好きで、iPadを持っていて子供に触らせている家庭でも、ゲームアプリが沢山ダウンロードされているケースが多いのではないか。

松田直子

桑崎先生や永坂さんからの話で指摘された「炎上世代」は「ゲーム世代」でもあると思う。特にパパにその傾向が見られるのではないだろうか?ママが色々と考えて決めた家庭のルールをパパが守っていない姿を見せると、子供とのけじめ(しつけ)の狭間でママの悩みが大きくなる事もあるのではないかと思う。

川合ちえみ

ママだけで頑張っても、パパの協力が得られないと難しい。

松田直子

家庭でルールを決めようとママ達が集まって話し合った際に「子供の前での自分たちの振る舞いも考えなければ」という意見が出た。考えているママたちは自覚している。

川合ちえみ

パパの自覚とのギャップ、家庭内ギャップをどうするかも考えなくてはならない。

松田直子

パパ向けのセミナーも開催したいと思うが、集客が難しい。父の日参観でやろうかなと考えたりもする。

田中康平

「自分は詳しいから大丈夫」と考えている人ほど、そういったセミナーに来てくれない。

永坂武城

「パパ向けセミナー」というのは、集客は難しいが「やっている」という事を発信していくことで、口コミでも良いので認知されていくのではないだろうか?

田中康平

今年の5月、佐賀のBARを借りてiPadの絵本アプリを使って「絵本づくり体験」の大人向けのワークショップを行なった。参加者は全員男性。お父さん達が一杯飲みながら、絵本づくりに夢中になった。その際に、アプリの作者に来て頂いて、開発の意図、とくに『子供達にクリエーター = 生産する・提供する側になる感覚を味わって欲しい』ということも話してもらった。その後、 家に帰って子供と一緒に絵本をつくって遊んだという話を聞いた。

桑崎剛

あるゲーム会社が言うには、最も課金して遊ぶ層は30代男性だそうだ。携帯型ゲーム機の所持も男児の方が女児に比べ多い。女児はスマホの所持が男児よりも多い。男女の違いもあると考えられる。

 

【座談会当日の意見等のレポート】

  1. 情報モラル専門家による乳幼児スマホ対談メンバーの自己紹介と各参加者の考え
  2. 子育ての中心世代は、情報モラル教育を受けていない
  3. スマホ育児の問題点の提言、そういわれても子育てママの事実は・・・
  4. 0歳児スマホ問題の議論の方向性と論点を整理してみると
  5. スマホ/タブレット時代の「幼児のしつけ」は、どのようにしたら良いのか?
  6. 子育て、しつけの“あるべき姿”とは?モノサシで計れるものなのか?
  7. 不易と流行、子供は変わったのか
  8. 子育てママには、子供と共に成長して欲しいと願う

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